二週間ほど前だろうか。
どこかへ出張に行った際に彼女は渋柿をもらってきた。
わりと大量に。
渋柿である。
作ったことはないが、干し柿を作れと丸投げされるんだなと覚悟した。
そうしたら。
渋柿をくれた人が焼酎を柿のへたに塗って、二週間ほどおくと、甘くなって食べれると教えてくれたらしい。
そうすると、彼女はノリノリである
焼酎ないと?とか、買ってきてよとか言い始める。
しかし、はじめに言っておくが、全員が柿好きではない。
まず、私。
どっちかというと、食べなくていいなら食べたくはない方だ。
すぐにやわやわになってしまう柿など、別に買わなくて結構、といったスタンス。
硬い柿で、誰か剥いてくれるのなら、四分の一くらいなら、食べんこともない。
熟した柿は、私は好きではない。
旦那。
彼は柿は、好きだ。
誰か剥いてくれるなら。
果物の中では、彼が好んで食べるのは柿とスイカ位のものだろう。
誰か剥いてくれるなら、だが。
彼女は、果物が好きだ。
いろんなものを買ってくる。
季節になれば、梨、林檎、みかん、柿、バナナ。
この5種類は必ず買ってくる。
ホテル時代からそう。
そして、バカみたいに買ってくる。
この間は梨を七個。
みかんはでかい袋で。
バナナは大量の房で。
りんごも恐らく自分の膝が悪くなければ、箱で買ってくるんじゃないだろうか。
で、なぜか、みなさん私に剥けという。
自分で剥けばいいじゃないか。
食べたい人が剥けばいいじゃないかとおもうのだが、なぜか剥くのは私だと決めつけている節がある。
個人的には食事の用意して、後片付けして、なぜにこの上に皮むきまでしてやらねばならんのだとおもうわけだ。
お菓子もつくるよ、パンも焼ける。
それは、私が気が向いたからやるだけで、みなさんのためをおもってやってるわけではない。

話がそれたが。
二週間前に彼女にホワイトリカーを買って渡した。
念を押した。

渋柿だよね?甘くなると言っても、甘くなるのは二週間後だよね?熟しちゃうよね?うちら、食べないからね?食べる分だけにして、あと干し柿にしたら?旦那くんも柔らかいのは食べないよ?私も食べないよ?自分で食べるんだよ?

念を押した。
かなり、念入りに。

彼女はこういった。

いいもん、食べなくても。甘くなるんだよ!おいしくなるんだって!欲しいって言ってもあげないからね!おいしいんだから!

はいはいってかんじではあったが、言い出したら聞かないので放置した。
ホワイトリカーは、使っていたのを見たが、ほぼ丸々残っていた。
この時期になんに使えと言うんだろう。

二週間たった。
正直、私も旦那もすっかりさっぱり忘れていた、柿のこと。

彼女は、柿を暗冷所に二週間放置した。
彼女のいう暗冷所とは、自分の部屋の前においた自分の靴箱だった。
(彼女は引っ越してきた当初から玄関を使わず、お客さんの出入りするウッドデッキから出入りする。靴箱は玄関のを使わず、自分の部屋の前に置いた素晴らしく年季の入ったむかーしの二段しかないタンスのようなもの。タンスというより箪笥といった方がしっくりくる)
そこからビニールを取り出し、部屋の前でなにやらブツブツ言っている。
台所やリビングにいると何か言っているのはわかるが、はっきりとは聞こえない。
旦那がなに?ときくと、柿がとだけ聞こえた。
あー、そう言えば、とおもったが、さして興味もないのでほうっておいた。
どうせ、30数個の柿なんて食べれんといいながら来るんだろと思ったのもある。

案の定彼女は、柿を持ってやってきた。

柔らかくなっとるよ!柔らかくならんとおもったのに。

いやいや、二週間もたてば柿なんて柔らかくなるでしょ

でも、いつかの柿は、ならんかったよ!
切ってみよう、ほら、甘いよ!たべりー!!

いらんよ

たべてんって!甘くておいしいよ!

柿は、食べませんっていったよね!柔らかいのはいらんっていったけど?

もう、すかん!追い出せ(最近やたらと私を追い出したいらしい(笑)
旦那くん、ほら、柿!たべり!

いらんし。

おいしいって!たべて!

いらん。

柿好きやろ?

渋柿やろ?

甘いって!

いらんって。

という、不毛な押し問答をした結果、あんたたちはもうすかん!といって!仏さんにやるもんといいながら、消えていきました。

仏さんも、そんなにたくさんいらんとおもうけど。
うん。

まあ、数日後に彼女が虫がわいて大変と言っている、全く虫のいない生ゴミ用の穴に大量に熟しきった柿が投入されるでしょう。

だからいったじゃん。
せめて半分干し柿にしたらって。
てか、幼稚園児か、お前は。